2018.02.27
脊椎圧迫骨折について
こちらをご覧になっている皆さんは、転んで尻もちをついた後や、勢いあまって椅子に座った後、なかなか腰や背中の痛みが消えない症状はないでしょうか?
「年のせいだから治りにくい」と思い、放っておいていませんでしょうか?もしかすると、背骨が骨折している可能性があります。
今回は「脊椎圧迫骨折」について説明します。
● 脊椎圧迫骨折とは?
脊椎(せきつい)とはいわゆる背骨(せぼね)のことを指しており、頸椎・胸椎・腰椎に分かれており、全部で24個あり、人間の場合は上に積みあがっています。椎骨の椎体といわれる場所が潰れた状態を脊椎圧迫骨折と診断します。
主な原因は骨粗鬆症で骨が弱くなっているために、衝撃に耐えきれないことであるといわれています。尻もちをついたり、くしゃみをしたり、重い荷物を急に持ち上げるなどといったことで椎体が潰れることがあります。骨折していることに気づかない場合があり、「いつのまにか骨折」をしていることもあります。
● どんな症状が出現するのか?
およそ3人に1人は骨折時に激しい痛みを背中や腰に感じ、骨折時に痛みを感じない場合もあります。
骨折後、安静時には痛みはほとんど感じないことが多く、寝返りをうつ時や、起き上がる時などの体を動かしている時に痛みが出ることが特徴です。
潰れた椎体はもとに戻ることはきわめて少なく、放っておくと背骨全体のバランスが崩れていき、骨折している場所以外にも痛みが生じ、腰痛がさらに悪化していく可能性があります。
また、椎体がひとつ潰れると、1年以内に次の骨折が発生しやすいという研究結果があります。
● どんな治療をするのか?
大きく分けて2つあり、手術をしない「保存療法」と手術を行う「外科的治療」があります。
保存療法では、コルセットやギプスを装着して通常通り生活する場合や、入院してベッド上で安静にしなければいけない場合があります。また、痛み止めの処方や、骨粗鬆症で骨が弱くなっているためその治療をすることもあります。
外科的治療では、金属製のねじなどで背骨の固定や、背骨を安定化させる物質を充てんすることを行います。
いずれの場合も今まで通りの生活を送ることが厳しい状態になり、ベッド上の生活が長引くと筋力が落ちたり、脳の機能が落ちたりします。
それらの低下を防ぎ再発も予防するために、リハビリテーションを行います。
● どんなリハビリをするのか?
まずは筋力が落ちないように、筋力トレーニングを行います。主に下半身(ひざやおしりのまわり)の筋肉を鍛えます。
しかし、それだけでは足りない場合がほとんどであるため、患者様の生活様式や体の動かし方に合わせた運動療法を理学療法士が提供します。
● 予防も大切!
転びやすい方は骨折の可能性も高いため、適切な予防も必要です。丈夫な骨を維持し、強い筋肉をつけた上で転びにくい体の動かし方を獲得することがより効果的なリハビリであるといえるでしょう。
なかなか背中・腰の痛みが消えない、転ばないか不安、丈夫な骨・筋肉を作りたいなどのご要望や、なにか気になることがありましたら、いつでもご相談ください。