2019.06.06
朝起きたら指が曲がったまま動かなくなってしまった、などの症状を経験したことはありませんか?
それは腱鞘炎・ばね指といわれるもので、治療が必要かもしれません。
通常、指は腱によって曲げ伸ばしができます。手を握ったりする強い力を発揮する筋肉は前腕にありその力を腱が伝えます。
その通り道で指を曲げる腱が浮き上がらないように腱鞘(けんしょう)と呼ばれるものが押さえています。この構造は、ベルトとベルト通しの関係に似ています。
その部分の腱や腱鞘が炎症を起こし、「腱鞘炎」になり、さらに進行すると引っ掛かりが生じばね現象が起こると考えられています。
今回は腱鞘炎、特にばね指と呼ばれる症状についてご説明いたします。
○ ばね指の症状
指の付け根で腱と腱鞘の間で炎症が起こると、「腱鞘炎」になり腱鞘の部分で腱の動きがスムーズでなくなり、指の付け根に痛み、腫れ、熱感が生じます。
朝方に症状が強く、日中は使っていると症状が軽減することも少なくありません。
進行するとばね現象が生じて「ばね指」となり、さらに悪化すると指が動かない状態になります。
○ 原因と病態
更年期の女性に多く、妊娠出産期の女性にも多く生じます。
手の使いすぎやスポーツや指を良く使う仕事の人にも多いのも特徴です。
糖尿病、リウマチ、透析患者にもよく発生します。母指(親指)、中指に多く、薬指、小指、人差し指にもよくみられます。
指の使いすぎにより腱に負荷がかかります。動かすたびに摩擦のために炎症が続き、腱鞘が厚くなったり、腱が肥大し、通過障害を起こしたりするために一層症状が悪化します。
○ 当院での治療
保存的療法としては、局所の安静、固定や投薬、腱鞘内へのステロイド注射などがあります。
この注射は有効で、おおむね3ヵ月以上は無症状なことが多いですが、再発することも少なくありません。
また、継続的に低出力レーザーでの治療によって痛みを軽減することができます。
○ 運動療法
指を動かす筋肉の多くは、ひじや前腕(ひじから手まで)から指にかけてついています。そのため、手の周辺のマッサージやストレッチだけでは不十分であると考えます。
肘の内側の出っぱっているところや前腕の筋肉をよくほぐしたり、ストレッチしたりすることは腱鞘炎やばね指の予防や治療になるのではないかと思います。
何か気になることがございましたら、気軽に当院までお越しください。